「子供の運動能力や運動神経を伸ばしたい」
わが子の伸ばしたい力の一つですよね。
でも、うちの子は走る姿がイケてない。
もしかして、運動神経が鈍いのかな?
そんな時、「ちょっと運動神経が鈍いですよね」
幼稚園の先生から、何気なく言われた一言。
わが子のプラスの意見は嬉しい。
でも腑に落ちない時、認めたくない時って、ありませんか?
今回は幼児教室で年少前のクラスを担当していた時に、実際にあった話を綴ります。
3歳の時点で「運動神経が鈍い」と言える?
M.Mくん(当時3歳)のお母さんは、いつも明るい性格です。
そのお母さんが急に、Mくんのマイナスな話をしてきました。
「先生、M(男児の名前)って、運動神経は鈍いですか?」
思わず私は聞き返しました。
「急にどうしました?何があったんですか?」
「幼稚園の先生から言われたんです。M君は運動神経がちょっと鈍いですよねって。」
その時、非常に不愉快な思いをしたことを、今も鮮明に覚えています。
お母さんに、ではなく幼稚園の先生に対して。
「園の先生は何を根拠に、そんな事を言ってるんですか?」Mさんに尋ねました。
「Mは他の子よりも少し太っているから、かけっこが遅いみたいです。」え?絶句でした。
M君は特別、太っていませんでした。
そして、お母さんにとって初めての子育て。
先生の言葉は良い意味でも悪い意味でも、親の頭にインプットされます。
無責任な話は本当に、やめてほしい。
子どもの運動能力は、遺伝よりも環境で決まる
筋肉や骨のつくり等は遺伝の要素が大きい。
でも運動能力は、遺伝よりも環境に大きく左右されます。
そして運動能力は1歳から小学6年生までの期間に成長すると言われます。
特に、小学高学年が最も伸びる時期のゴールデンエイジです。
当時、M君はまだ3歳。
まだ誰もM君の資質を決めつけることは出来ないはずです。今から成長しますから。
子供の運動能力を高める鉄棒代わりの、ぶらさがり運動
私もM君を大好きでしたから、とにかく何とかしたい一心でした。
教室や自宅、公園で、すぐに出来ることは何か?調べました。
まずはレッスン前後の、ぶらさがり運動。
鉄棒が自宅にあるご家庭は、なかなか無いです。
鉄棒が無い時は、お母さんの両手の親指を子どもが握ります。そして3秒でも、5秒でも、ぶらさがります。
最初は無理せずに、画像のように握ります。
親指が上を向くサル手は、鉄棒を離しやすい握り方。
握力がつき始めたら、親指を下にする順手に切り替えます。
これでM君の握力や腕力を鍛えることができます。走る時の腕の振りに力が増します。
ぶらさがり運動は全身の姿勢を整える効果もあるから、走るフォームも綺麗になります。
子供の運動能力を高める子どもが運動する時間
この時期の子どもは「よーい、ドン!」に喜んで反応してくれます。
少しで良いから走る機会を作ってもらうように、お母さんにお願いしました。
公園に行って、鬼ごっこをしたり、ボール遊びも勧めました。
特に、Mくんはボールを追いかけて走るサッカーが楽しかったようです。
お母さんのお陰で、Mくんが運動する時間が少しずつ増えていきました。
子どもの運動能力を高める、最適の公園遊び
子どもに、「○○をしよう!」も良いです。
でも子どもにとって最も好ましい運動は、子どもが好きなように動き・遊ぶこと。
例えば、公園には滑り台があります。
滑り終わった後に「また滑りたい!」「楽しい!」から走って階段に向かいます。
微笑ましい光景ですよね。これが一番です。
Mさんは仕事もあり、忙しいお母さん。
でも、平日は家でぶらさがり運動を。
週末は公園遊びをルーティンにしました。
運動会のかけっこ
それから約3か月後に、Mさんから喜びの声を聴けました。
「先生!かけっこでMが1番になりました!」
本当に嬉しかったです。
思わずM君に私は抱きついて喜びました。
「ヤッタね~、Mくん!」
Mくんも満面の笑みでした。
運動会は4人での、かけっこでした。
もしかしたら、他の3人が緊張したり、調子が芳しくなかったのかもしれません。
でも、日頃の生活で「やったこと」が形に出たことが、Mさんにも私にも最上の喜びでした。
やれば出来る!その一言に尽きます。
子どもの運動能力を高める遊び
子どもの体力や運動能力には時代差があります。
「体格は良くなったが、体力や運動能力は下がった」と約10年前は言われていました。
そして平成28年にスポーツ庁が「緩やかに回復傾向にある」と発表しています。
ボール遊びができない公園、砂場やブランコがなくなった公園。
昔と違って、遊ぶ場所・身体を動かせる場所は減りました。
親が遊ぶ場所を探して、連れて行く時代です。
運動能力を高めるには、「走る」「跳ぶ」「投げる」運動が最適です。
子どもが自由に走り回る外遊びや公園遊びが、この運動に直結します。
スポーツ庁が「平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書」で以下を明示しています。
幼児期に外遊びをよくしていた児童は、日常的に運動し、体力も高い。
「体操教室やサッカー教室に週1回通っているから大丈夫」に加えて、親子での外遊びの機会を日常と言える程に増やす方が良いと感じますよね。
子どもの「一番の先生」
愛娘は今、保育園に通っています。
担任の先生をはじめ、他の先生方もよく見てくれています。
でも残念ながら、心無い言葉を発する先生も園によっては存在します。
子どもの一番の先生は親です。
親が子どもを信じなければ、子どもの行き場所は狭まり、違う方向にさえ進みます。
親が子どもの可能性を強く信じること。
親が子どもの可能性を広げる子育てを、常に子育ての軸にしたいですね。